そば屋開業ガイド第5章

第5章 誰かに話したくなる商品をつくる

そば屋開業ガイド|第5章

おいしさに、語れる理由を添える

おいしい店は、たくさんあります。

だからこそ、小さな店が選ばれるためには、

「この店でなければならない理由」

が必要です。

その理由は、大げさなものでなくて構いません。

お客様が、

「こんな蕎麦を食べてきた」
「今度、一緒に行こう」

と誰かに話したくなる商品をつくることです。

商品名を聞けば、姿が思い浮かぶ。

写真を見れば、食べてみたくなる。

なぜ、その商品をつくったのかが分かる。

お客様が人に説明しやすい。

そうした商品は、お客様の記憶に残ります。

「ざるそば」だけでは、少し伝わりにくいかもしれません。

けれど、

「信州小諸のくるみそば」
「一日10食限定の石臼挽き十割そば」
「季節野菜の天ざると三つの小皿」

と名前を付ければ、商品を見ていない人にも特徴が伝わります。

商品名は、ただの名前ではありません。

お客様が誰かに話すときの言葉になります。

少しの驚きが、会話を生む

誰かに話したくなる商品は、必ずしも豪華な料理である必要はありません。

天ぷらの中に、地元のりんごを一つ入れる。

最初に、温かいトロッとしたそば湯を出す。

そばの切れ端を、そばかりんとうにして添える。

食後に、小さな甘味を付ける。

季節によって、そば粉の産地を少し変えて紹介する。

そうした小さな工夫が、会話のきっかけになります。

「こんなものが付いてきた」

「この食べ方は初めてだった」

「あのお店らしくて、よかった」

そう感じていただけると、お客様は人に話しやすくなります。

変わったことをするのが目的ではありません。

その店らしい、小さな楽しみをつくることが大切です。

商品が生まれた理由も、価値になる

なぜ、くるみそばを出すのか。

なぜ、この産地のそば粉を選んだのか。

なぜ、一日10食だけなのか。

商品が生まれた理由を、メニューやホームページ、SNSで伝えます。

試作を繰り返したこと。

最初は、うまくいかなかったこと。

地元の食文化を、店の一杯として残したかったこと。

お客様の声を受けて、少しずつ形を変えてきたこと。

そうした過程も、店の物語になります。

完成した商品だけでなく、そこにたどり着くまでの理由も、お客様にとっては魅力です。

「なぜ、この蕎麦なのか」

が分かると、お客様はその一杯をより深く味わえます。

語りたくなる理由を、言葉に整える

小さな蕎麦屋が磨くべきものは、安さだけではありません。

「この店でなければならない理由」です。

ただし、その理由が店主の頭の中にあるだけでは、お客様には伝わりません。

商品名。
写真。
メニューの説明。
ホームページの文章。
店内で添える一言。

それぞれの場所で、同じ商品の魅力を、少しずつ分かりやすく伝えていきます。

語りたくなる商品をつくり、
その理由を、伝えたくなる言葉に整えていく。

それが、小さな店の強い商品づくりです。

まとめ

おいしい店は、たくさんあります。

小さな蕎麦屋が選ばれるためには、「この店でなければならない理由」が必要です。

商品名を聞けば姿が思い浮かび、写真を見れば食べてみたくなり、人に説明しやすい商品を考えてください。

少しの驚きや、商品が生まれた理由は、お客様が誰かに話したくなるきっかけになります。

語りたくなる商品をつくり、その理由を、伝えたくなる言葉に整えていく。

次章では、小さな蕎麦屋の売上と利益を、数字で考えます。

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