そば屋開業ガイド第3回

【そば屋開業ガイド③】

原価率35%が成立する理由と、値下げしない価格設計

そば屋の「稼ぎ」は、粉より前に決まります。ロスを減らし、価格を守り、原価を上げて満足を作る設計です。

値下げで集客すると、店は苦しくなります。
小さな蕎麦屋が強いのは「価格を守れる設計」を作れるからです。
そのために、原価率の中身を分解します。

そば粉の原価は、実は軽い

まず、そば粉の価格を置きます。
国内産そば粉:1,000円/kg(目安)

そば1人前の粉:100g
100g × 1,000円/kg = 100円

ここが大事なポイントです。
「国内産だから原価が重い」という印象はありますが、
1食あたりにすると、粉の差は想像ほど大きくありません。

外国産との差は「50円」しかない

では、外国産のそば粉が500円/kgだったらどうなるか。
価格差は2倍あります。

国内産 1,000円/kg → 100g=100円
外国産 500円/kg → 100g=50円
差額:50円

そう。差は50円です。
それであなたは、お客様にこう言えます。

言えること
「当店は国内産そば粉を100%使用しています」

外国産が悪い、という話ではありません。
ただ、外国産には「安い店」というイメージがついて回りやすい。
国内産は「しっかりしている」「安心して食べられる」という印象を作れます。

つゆ・薬味の原価は30円で考える

ここはシンプルに置きます。
つゆ・薬味は30円(目安)。

粉(100円)+ つゆ・薬味(30円)= 130円

客単価1,400円に対して、麺そのものの原価は軽い。
だからこそ、小さな蕎麦屋は「満足を作る原価の使い方」ができます。

原価率35%は「上げるために」ある

多くの飲食店は、原価率を下げたくなります。
でも、成功している店は、意識して原価率を上げている傾向があります。

ここで言う「原価を上げる」は、無駄遣いではありません。
ロスを減らし、無駄をなくし、そのぶん「お客様に返す」ことです。

小鉢3皿で、体験価値が上がる

客単価1,400円の価値は、そば一杯だけで作りません。
料理が出る前に、小鉢を「お通しのように」出します。

  • 揚げソバ(前日残った蕎麦や切れ端を揚げる)
  • 季節の香(野沢菜、白菜の塩つけ など)
  • 切り干し大根 など

ポテトサラダでもいい。
年配のパートさんなら、かぼちゃの煮つけでもいい。
旬の野菜を少し入れるだけで、常連のお客様も飽きません。

ポイント
普段から料理に慣れている主婦の力を最大限生かす

これは「原価が上がる」のではなく、
無駄をなくした上で、原価を「価値のあるところ」に使うということです。
結果として、満足が上がり、口コミが生まれ、リピートが増えます。

値下げしない。売り切る。ロスを作らない

蕎麦は、事前に「何食」と計画を立てて仕込みます。
お客様の顔を見てから、料理を作ることができません。

だから、ロスが一番、経営にダメージになります。
(心にもダメージがきます)

本日何食と決めて開店して、必ず売り切る。
限定数を越えてしまったお客様には、お断りすることになります。

もったいない。そう感じます。
でも、ここで断ることが、次のご来店につながります。

なぜ「売り切り」が強いのか
仕込み・スタッフ・原価・利益の計算が立つから

値引きで集客するのではなく、
価格を守り、満足を上げ、売り切る。
小さな蕎麦屋が強くなるのは、この設計です。

まとめ

国内産と外国産の粉の差は、1食あたり50円です。
その50円で「安心して食べられる店」という印象を作れます。
原価率35%は削るためではなく、無駄をなくしたうえで「満足」に使うためにある。
値下げではなく、価格を守って、売り切る。これが小さな蕎麦屋の強さになります。

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