そば屋開業ガイド第6章

第6章 20席・1日60人で、店は成り立つ

そば屋開業ガイド|第6章

数字は、好きな仕事を続けるための設計図です

儲けることは、悪いことではありません。

利益があるから、店を続けられます。

続けられるから、お客様も安心して通えます。

好きなことを長く続けるために、きちんと利益を残してください。

小さな蕎麦屋の一例として、次の条件で考えてみます。

席数は20席。
営業は月20日。
昼営業が中心。
平均客単価は1,400円。

一日に60人のお客様が来店すると、

60人 × 1,400円 = 84,000円

一日の売上は84,000円です。

月20日営業すれば、

84,000円 × 20日 = 1,680,000円

月商は168万円になります。

この数字は正解ではありません。

自分の店を考えるための、一つのモデルです。

3回転なんて無理でしょうか

20席で60人なら、単純に計算すると3回転です。

「3回転なんて、現実には無理でしょう」

と思う方もいるかもしれません。

20席が一斉に埋まり、一斉に入れ替わる流れを3回繰り返すのは、確かに現実的ではありません。

だから、全席をきれいに3回転させようと考える必要はありません。

大切なのは、何時に、どんなお客様に来ていただくのかを設計することです。

たとえば、11時から注文できる限定10食の特別メニューをつくります。

「一日10食限定」
「11時からご注文いただけます」

と事前に伝えれば、そのメニューを目当てに、早い時間から来店してくださるお客様が生まれます。

季節の小皿を付ける。
普段とは違うそば粉を使う。
小さな甘味を添える。

単なる値引きではなく、

「早い時間に行ってでも食べたい」

と思っていただける内容にします。

11時台に10人。

12時前後に25人。

13時以降に15人から20人。

その間に一人客や二人客が入れば、一日60人が見えてきます。

全席をきれいに3回転させる必要はありません。

何時に来ていただくのか。
何を目当てに来ていただくのか。

来店時間も、店側から設計できます。

客単価を下げると、必要な客数は増える

同じ月商168万円を目指す場合、

客単価1,000円なら、一日84人。

客単価1,400円なら、一日60人。

客単価2,000円なら、一日42人です。

価格を下げれば、必要な客数は増えます。

客数が増えれば、そばを用意する量も、仕込みも、接客も、洗い物も増えます。

店が忙しくなっても、利益があまり残らないことがあります。

毎日100人来なければ成り立たない店より、40人や50人でも維持できる店の方が、小さな蕎麦屋としては強いと思います。

客単価は、ただ高ければよいというものではありません。

お客様が納得してくださり、店にも利益が残る価格を考えることが大切です。

店主の給与を、後回しにしない

月商168万円から、食材費、人件費、家賃、水道光熱費、消耗品、設備費、借入金の返済などを支払います。

そして、店主自身の給与も必要です。

売上から経費を支払い、最後に残ったお金が店主の取り分。

その考え方では、店主の生活が不安定になります。

店主の給与も、最初から必要な費用として考えてください。

店主が無理をし続けて成り立つ店は、長く続きません。

家族の生活。
休みを取ること。
設備を直す余裕。
次の商品を試作する余裕。

そうしたものも、店を続けるためには必要です。

大切なのは、

「いくら売れたか」

ではなく、

「すべてを支払った後に、いくら残るか」

です。

数字は、夢を冷ますものではありません。

好きな仕事を続けるための設計図です。

店主が幸せに働き、お客様に喜んでいただき、きちんと利益が残る数字を見つけてください。

まとめ

利益を残すことは、悪いことではありません。

利益があるから店を続けられ、続けられるからお客様も安心して通えます。

20席、月20日営業、平均客単価1,400円、一日60人なら、月商は168万円になります。

ただし、全席をきれいに3回転させる必要はありません。

何時に、どんなお客様に、何を目当てに来ていただくのかを設計することで、一日60人の形は見えてきます。

店主の給与も、最初から必要な費用として考えてください。

数字は、好きな仕事を続けるための設計図です。

次章では、少人数でも無理なく回る店の仕組みを考えます。

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